自由に生きていいんだよ

これはカンボジアを旅行中に、たまたま見つけた織物のお店で

たまたま出会った本。

だけど当時の私に必要な言葉が1ページ目に書いてあって、

その場でこの本を買った。


”20代は、自分が本当にやりたいものを見つける時代。

 30代は、そのやりたいことを深化させていく時代。

 失敗したり、経験をつんで、花を咲かせるのは40代。


 あせらなくていい。

 人生って怖いところじゃないから。


 森本喜久男"


この言葉が、スゥーっときた。

なぜなら、当時の私はちょうど29歳。

やっと自分のやりたいこと、生きることや仕事の方向性が決まった。

でも29歳なんてだいぶ遅い。もう30歳だ。そう思っていたから。

そうしたらまるで私が来るのを知ってたかのように、

1ページ目からこれだ。びっくりした。


これは森本さんのインタビュー本。

聞き手はずっと親交のあるジャーナリストの高世さん。


会話形式だから、とっても読みやすい。

実際会ったことはないが(すでに亡くなられているので)、

目の前で喋っている気さえしてくる。

その語り方は、すごく柔らかくて、自分を肯定してくれるようだった。


これは森本さんが若い人へ伝えたいことを詰めた本。

そのほとんどは、森本さんのこれまでの人生の話だったりする。

かなり波乱万丈である。

でもどうやら彼も若い頃にはだいぶ人生に迷っていたらしいが、

今ではカンボジアに村を作っているんだから、冒頭の台詞も納得できる。


文中に「点で考えよう」とある。

森本さんは結構失敗もしている。その時の原因として、「面で考えていた」と話す。

というのも、良かれと思ってコミュニティ全体を変えようとするんだけれども

どうしても無理が出てきて、まとまりが取れずに失敗したんだそう。

だから一人でも二人でも、やりたい人たちだけでやる。それが点から始める。

その点が増えていけば、それはやがて面になる。


こんな話もあった。

森林を育てている時にどうしても、その木を生活費にするために売る村人がいた。

でも森本さんは注意をせずに、これはみんなの木であると伝えるだけで

あとは辛抱強く待った。人々の意識が変わるのを。

そしてある時から、村人たちが「これはみんなの木だから売ってはダメだ」と

注意するようになった。

共有の財産であることを認識してくれたんだと。


これは、私にはとても印象深かった。

意見を押し付けるのではない。信頼して待つ。

人を信頼していたんだなと感じるエピソードだった。


彼がカンボジアに村を作ったのは、

良い布を作るためには新鮮な材料がないとダメだと思ったかららしい。

新鮮な材料とは、まず糸を作るための蚕と、蚕の餌である桑の葉。

そしてその糸を染めるための染料、ココナッツや植物の葉っぱなど。

そのために森本さんは荒れ地を購入し、畑を作り、自然林を作り、

野菜畑も作って自給自足できる村を作り上げた。

そして最終的には子供が増えて、小学校まで作ってしまった!

すごすぎる。


何故ここまでしたのかといえば、始まりは、

見事なカンボジアの織物を見つけて魅了されたかららしい。

不思議だ。


日本での大変な暮らしも知っている。

その上で、カンボジアに移住し村を作り、電気はなくても

日々満たされた日々を送る中で気づいたことはたくさんある。


”所有なんて、意味がない。

 人間サイズの暮らしが心地いい。

 豊かさとお金はイコールじゃない。"


昔以上に、今は、自分がやりたいことをやれる時代だと私は思う。

できるかもしれないのに「できない」と若者はすぐ言うと森本さん。

その通りだと思う。


私も私自身という小さな点から始めて、

心豊かな人生を一人でも多くの人が送れるように

伝えていけたらと思う。

私は私の道でやっていこうと、そう強く思う1冊だった。


やりたいことがあるけど不安で迷っている人、

やりたいことがない人にももちろんお勧め。

誰が読んでも、今の暮らしを見つめ直して前を向く本。

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