サピエンス全史(上)

めっちゃ面白い!!!

私がこの本を読みだした経緯は、ずばり、

人間の事を知りたかったから。


過去の人々は、どう考え、どう行動したのか。

過去の人々が起こした出来事の結果である歴史だけじゃなくて、

何故そう考えたかの心理面も知りたくて読み始めた本。

結果的に、いろいろな発見があって、人生の中で読んでよかった本ナンバー1!


247ページにも渡り、認知革命・農業革命・人類の統一という

3部をメインに展開されている。

私は自然環境保護の一部として農業に関心があったが、

農業こそ自然を破壊しているという部分も完全に否定はできない。

そこで農業革命の事について、もっと知りたくなった。


読んでいて思ったのは、著者も今の時代に対して少し悲観的な事。

勝手に私がシンパシーを抱いただけかもしれないけど、

読んでいて「そうそう。そうなんだよね〜」と思うことが時々ある。

だから農業革命は、やや否定的に感じられた。

結構、著者自身の主観が反映されているかもしれない。


一番面白かったのは、農業革命の話ではなくて、

「人間が他の動物と違うのは、想像力がある点」という話だった。

今まで考えたこともなかったけれど、言われてみればそうだ。

人類は想像力のもと、団結することができ、

結果格上の他者に対してチームワークで戦いを挑み、勝利してきたのだと。


想像力。

これは今後、事業を展開していく上でもヒントになりそう。

共通の想像物を作れば、お客さんもスタッフもそれに向かって

一致団結するのではなかろうか。


次に貨幣の話。

人をまとめ上げた、人の「想像」で機能する貨幣。

不思議な話だけれど、お金をお金たらしめているのは人の想像であって、

誰もがそれで品物と交換できると思い込んでいる。

私も例外ではない。

改めてこの本を読むと、どれだけこの世界が想像の上に成り立っているかがわかる。


サブタイトルには「文明の構造と人類の幸福」とある。

私たちの幸福とはなんだろう。

きっと狩猟民族から採集民族になった時、

いつでも食べ物が手に入る安定的な暮らしが幸福になった。

しかし、当初は良かれと思ってやっていたものが、だんだんと重荷になっていく。


人類の幸福とはどこにあるのか。

長い長い人類の歴史の中、何が一番の幸福だったというんだろうか。

幸福を追い求めるのは、人間だけ。

幸福すらも人間の想像力の産物。

そんなことを考えたりもした。


内容はとても説得力があり、過去の人類の歩みが

裏付けされた研究結果をもとに細かく書かれている。


ただ、残念な事に、読みづらい。

妙に和訳がまどろっこしいというか、リズム感がなく説明がくどい。

これだけ難しい内容なので和訳も大変だとは思うけど、

そこはプロとしてもう少し分かりやすい日本語にして欲しかったと思う。


ビジネス書としてベストセラーだというが、

なるほど、人類として生きる上での教養として知っておくべき内容だと思う。

今まで積み重ねられてきた歴史を知ると、

これからの生き方が少し変わってくるだろう。

悲観的だけど、人類が環境を破壊し動物を絶滅に追い込むのは

変えようのない事実なのかもしれない。

希望も絶望も感じる1冊だった。


ちなみに、(下)は読んでいないし、これからも読まないだろうと思う。

友人曰く、下になると著者のテンションが下がっているのがわかるらしい。

どうやら現代に近づくほど、絶望感が増すのかもしれない。

けれど人類としてこれから生きていく以上、知っておくべき事だと思う。


そして私たちの代の話を、未来の世代が記録として読んだ時、

なおさら絶望しないようにこれから行動していきたい。


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