ノルウェーワーホリを終えて

1年2組あきな。

今日でノルウェーでのワーホリが終了しました。滞在カードは7月25日までなので、実際にはあと1ヶ月ありますが、今日旅立つ事にしました。

くしくも、ちょうど一年前の今日、私はオスロに到着しました。あの時の衝撃は今でも覚えています。全然ヨーロッパぽくない、建物が汚い、治安が悪い。というのも、ホステルがある地域が、オスロで唯一治安の悪い地域で、初めて訪れたのがそこだったために印象は最悪でした。

その後も住む家が見つからなかったり、仕事が見つからなかったり、ルームメイトと揉めたり、色々とありました。生活の基盤を整えるために、だいぶ時間がかかりました。約5ヶ月して、やっと腰を落ち着けたように思います。大号泣した日もありました。もう帰ると本気で思った時もありました。

でもそのあと、良い事が沢山ありました。いまとなっては、悪い事も笑い話になって、ノルウェーを去るのが寂しくてしかたありません。

なんといっても一番の宝物は、人との出会いです。ありきたりな答えだと思うかもしれません。でも、沢山の人がそう答えるのは、それが真実だからです。

たくさん友達ができました。色んな角度からの、面白い話を聞くことが出来ました。特にオスロでは、みんなが夢を持って来ていました。その夢に向かって進んでいる人たちのわくわくする話を聞くと、自分もわくわくして、色んなことを考えました。自分もわくわくするようなやりたい事を見つけました。

仕事はラーメン屋さんでした。渡欧して3ヶ月後に見つかりました。仕事探しには実に1ヶ月半を費やしました。最初は大変でした。怒られてばっかりだし、怒り方も腹立たしいし、手厳しい言葉ももらいました。でも、2ヶ月ほど経って慣れてきてからは、とっても楽しい日々を過ごすことができました。毎日笑って働いていました。ビッチルームメイトと揉めておちこんでても、バイトに行くと気分が晴れました。お客さんも大体良い人で、日本に興味がある人に沢山会いました。ノルウェー語で簡単な説明をしたり、注文が取れるようにもなりました。

最後の日は、みんなで飲み会に行き、見事に酔い潰れました。途中の記憶がありません。ショットを飲んだあたりから、曖昧です。夜行バスで帰った時、終点で運転手さんに起こされ、良い返事だけして二度寝しました。もう一回起こされました。翌日はひどい二日酔いに悩まされて、それ以来、身体がビールを受け付けなくなりました。大ジョッキ3杯につき、水1杯の休憩が必須です。

幸運なことに、気の合う友人に恵まれました。飲みに行きたくなって呼び出すと、夜にも関わらずみんな集まってくれました。誕生日もお祝いしてくれました。寝台列車や個室付きフェリーを使って旅行にも行きました。日本にいた時はもっぱらひとり旅だったので、友達との旅行がこんなに楽しいことに改めて気付かされました。

日本の友達や家族もノルウェーに遊びにきてくれました。楽しんでくれたようで嬉しかったです。ノルウェーを我が町のように案内するのは、不思議な気分でした。

私はどちらかというと、ノルウェー国内を多く旅しました。北ノルウェーではトロムソ、カルヴォーヤ、ソマロイ、ヴァーロイ、オー、レイネ。真ん中ではレーロース、ベルゲン、グドヴァンゲン、フロム、ミュールダール。南では、オスロ、サンヴィカ、ラルヴィク、フィレスダール、スタヴァンゲル、プレーケストーレン、あと名前を忘れたけど西テレマルクにある村をいくつか。

各町ごとに特徴があって、とても面白かったです。自然も土地ごとに違った綺麗さがありました。ぜひノルウェーを訪れた際は、オスロ以外の都市も訪れてほしいです。特に北極圏の山は、木が少なくて、鋭い峰の山々が多く景色が全然違います。南に行くにつれて、山はどんどんなだらかで、緑豊かになります。海沿いの公園によくある白樺の広葉樹が太陽に照らされて光る様は、私の中でノルウェーの夏の風物詩です。

訪れた中でも印象深いのがヴァーロイです。トロムソに行きたかったけど、縁がなくて行けなかったと友人に話したら、ロフォーテンなら知り合いがいるから紹介できると言ってくれたのです。行きたかったのはロフォーテン本島でしたが、これも何かの縁。泊まるお家はおじさんが一人で住んでる家で、最初は少し心配でした。でも無料で泊まれるのはありがたかったので、行ってみることにしました。それに、あとから友人も合流する事になっていました。

小さな離島は、控えめに言っても最高でした。海が緑色で透き通っていて、山々は猛々しくそびえ立っています。別世界のようでした。オスロ周辺の自然も綺麗でしたが、別次元の綺麗さでした。島の人々も優しくて、素晴らしい1週間を過ごすことができました。

仕事は半年で辞めて、3週間ほど一時帰国をしました。その後、2ヶ月間はファームステイをしました。ファームステイをすることが、このノルウェーワーホリの最大の目的でした。友人からは、コキ使われる話もよく聞くから気をつけてと言われていて、少し緊張していました。

滞在したのはカルヴォーヤとフィレスダールです。どちらも素敵な人たちに恵まれました。朝8時から畑で身体を使って仕事をして、16時には家でのんびりします。どうやらノルウェーには趣味で農業をする人が多いようで、カルヴォーヤの農場は、仕事はほとんどウーファー頼りです。ホストはたまに畑に出ますが、もっぱら家で仕事をしていました。決して仕事は大変ではありませんが、雇われてると言う気持ちになりました。フィレスダールの農場は、若い家族が運営していて、ホストたちは朝からずっと畑で働いていました。それを見ていると大変そうだから、もっと手伝いたいという気持ちになり、一緒に働いている気分にもなりました。

周囲に何もないので、自由時間は編み物をしたり、映画を観たり、散歩をしたり、読書をしていました。毎日ホストとしか会わず、行動範囲は狭いのに、不思議と満ち足りた日々を送ることが出来ました。自然の中で、何かに追われることなく、時間を過ごす。それが良かったのだと思います。

日本では休みの日は昼寝すると勿体無く感じるし、どこかに出掛けないと充実していないような気がしていました。仕事の事が頭から離れない休日もよくありました。読書をしていても、心配事が頭の中にチラついてしまいます。気が逸れて、すぐ別のことを始めることもありました。日本にいた時は、編み物なんて時間がないので、やろうとも思いませんでした。

ファームは自然の中にあって、ご近所さんも全然いないので、気が逸れることはありませんでした。静かな環境の中で、何かに没頭することができました。ふと疲れて目を上げれば、新緑や青い空が見えます。大きく深呼吸して、また没頭を繰り返す。そして気持ちよく眠りにつく。こうやって日本でも、ゆったりと時間を過ごしたいものです。

またこんなに色々な町を訪れることができたのは、ひとえに出会いのおかげでもあります。いくつかの地域には、友人を訪ねていきました。知り合いを通じて、たまたま出会った友人。2回しか会ったことがないにも関わらず、遊びに行くのを快く了承してくれて、4日間もお邪魔しました。休みの日には車でビーチに連れてってくれて、リクライニングチェアーに寝そべって日光浴をしながらお喋りをする。海にも入れました。次に来る時は泳げるようになってから、ビキニを持ってきたいと心の底から思いました。さいごにノルウェーらしい最高に贅沢な時間を過ごしました。また北欧の定番、ベリー狩りやキノコ狩りも友人のおかげで楽しむことが出来ました。なかなか1人では、見つからないし、どこに行ったらいいのかもわからないので、とても助かりました。

問題があった時には助けてくれたり、落ち込んだ時には励ましてくれたり、遊びに行ったり、素敵な人たちに出会えたから、私はノルウェーで1年間過ごすことができました。誰一人欠けても、私のノルウェー生活はここまで満足できるものにはならなかったでしょう。

だからこれからワーホリに来る人たちへ伝えたいのは、友人を大事にということです。ノルウェーは移民には手厳しい国です。1人で生きていくのは、茨の道になるでしょう。色んな人と、持ちつ持たれつ、感謝の気持ちを忘れずに過ごしてください。そうしたら、きっと良いことが沢山あります。途中で嫌なことがあっても、へこたれても、そのうちどうにかなります。

私は今、ノルウェーを出発し、デンマークに向かう船の上でこれを書いています。正直まったくノルウェーを離れた実感がありません。でもきっとこのあと、デンマーク語に囲まれた不便な生活が始まることで実感すると思います。じわじわと。

ノルウェーを思い出す時、友人の顔も思い出します。どうか私の大切な人たちが、笑顔で過ごしていますように。水平線の向こうにいる、友人に向けて。

そしてまた素敵な人々に出会えますように。水平線の向こうに待つ、新たな旅に向けて。

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